五臓
心・肺・肝・腎・脾、そして脈絡
心(ココロ)は日(ヒ)、畏くも大き火(ヒ)ゆえ燃え盛るを常とす。
息(イキ)を撓らせ、足さきにまで降ろしきれば、脈は燃え五臓を絡ぐ。
肺(ハイ)は魄(タマシイ)、行わざれば価せず、心の脇に浮かんでいる。
息を行い、湧き来る暖かき脈を、慈しみ尽くす力(チカラ)。
肝は魂(ココロ)、厳かな杜の木々のように、冥い淵に佇んでいる。
息を尽くして脈を熾し、心に登り来て日と結ぶ。
心に仕える熾ゆえ、ときには稲妻となり、攻め尽くし果たす。
腎は志(ココロザシ)、限りなく透る水にして、月の光のように冥い淵を照らしている。
息を行い、脈を巡らせ、心に遡り来たれば日を護って全うする。
日に仕える水ゆえ、蒼き龍(オロチ)棲み、揺れ、哀しみ、舞翔け、のち鎮む。
肝と腎は、相和さざれば遂げず。
脾は意(オモイ)、勁き智(サトリ)、日と淵の狭間で、良き土のごとく凛々しい。
息は誠(マコト)を尽くす永遠(トワ)の生命(イノチ)の行い。
(白隠禅師、夜船閑話より ©️2021さわみしん)